目標の奴隷になるのはやめよう 〜「仕事は楽しいかね?」を読んで〜
昨夜、急に自己啓発系の本を読みたくなったので、「仕事は楽しいかね?」を読みました。
先日、会社の役員の方にオススメされて以来、読みたいと思っていたのですが、なかなかまとまった時間が取れずだったので、ようやく読めました。
以下は本の自分なりの備忘録と感想です。
簡単なあらすじ
この本は主人公が空港に雪で閉じ込められたところから始まります。ひょんなとこから、とある老人に自分の仕事や人生の愚痴をその人にぶちまけ、老人がそれについて色々と話をするという対話形式のものになっています。
内容は堅苦しい感じではなく、完全に小説なので、誰でもスルスルと読めると思います。
人生の退屈と不安
人々は、したくもない仕事をし、同時にそれを失うことを恐れているんだ
自分は社会人4年目になりますが、前職の同期や友人と話していると、時々仕事の愚痴や組織の愚痴を聞くことがあります。
一方でそんなに嫌なら転職すれば良いやんと言うと、大体の人はいや今の収入や福利厚生を落としたくないや、異動すればきっと変わる、労働なんてそんなものだと言う返しをする人が大半です。
やりたくもない仕事をしているのに、それを失う、変えることは怖いと言うわけです。
もちろん失いたくないのは収入や福利厚生な訳ですが、そんなもののために人生の大半の時間を占める仕事を続けるのはなんとなく不思議です。
目標の奴隷
今日の目標は明日のマンネリ
よく自己啓発本では上記の不安や退屈な環境から逃れ、成功するために、下記のようなことが書かれます。
まず目標を立てましょう。なるだけ大きな目標を!自分が人生でどのようなことを成し遂げたいか?どういう状態になりたいか?本当に達成したいと心から思う目標を立てるのです。立てたらあとは簡単!毎日、それに向かって一歩一歩努力して進むだけです。
しかし、この本ではこの考えには問題があると言います。
一つはそんなやりたいことは簡単に見つからないということです。
たいていの人は、自分には夢中になれるものがないということを、なかなか認めない。だから情熱を陳腐なもののように扱ってしまう。そして、こう言うんだ、「どんなものに夢中になれるかはわからないが、『他の人と一緒に働くこと』が好きなのは確かだ」
もう一つの問題は目標を達成したからといって退屈や不安から逃れることはないということです。
アメリカの至る所で、人々は精神分析科医のところへ詰めかけ、こうぼやいている、「『ずっとしたいと思っていた』仕事をしているのに、なぜか『やっぱり幸せじゃない』んです。」
就活の時は、自分の多くの人がある程度の夢や希望を抱いて会社に入るはずです。でも数年経つと大体の人は仕事や上司、会社の愚痴を飲み会で話すことが多くなっていきます。
そう、目標を設定して、努力をして、達成したからといって、退屈や不安から逃れられることはないということです。
成功に法則はない
みんな人生のある時点で、仕事に対する目標を変えた人たちだ。
世間ではよく下記のような本や記事が出ます。
成功者はみんな〇〇をしている! 年収の高い人に共通する〇〇の習慣!
まるで成功した人が最初から成功する方法がわかっていたかのように世間は認識し、それを真似すれば成功するとそんな風に思っています。
ここである薬屋さんの話があります。その薬屋さんは色々な面白い治療薬を作ることで有名で、様々治療薬を作っていました。
ある日、薬を取りに倉庫に入ると従業員が、甘いシロップ状の薬を勝手に開けて水割りにして飲んでいました。
この時、自分が薬屋さんの店長だったらどうするでしょうか?多分、怒って従業員をクビにはしなくとも説教したりすると思います。そして薬屋さんとしてやるべきことをやるでしょう。
しかし、この薬屋さんは、確かに美味しい!ソーダで割ったらさらに美味しいそうだ!割って飲んでみよう!最高だ!となって今世界で愛されるコカコーラができたわけです。
もしこの人が薬屋として発展するために目標を掲げ、そのためにやるべきことをひたすらやっていたら、この事象は単なる邪魔なことでしかなく、さっさと片付けて何事もなく、薬屋としてやるべきことをやっていたでしょう。そしてコーラは生まれなかった。
必要は発明の母かもしれない。 だけど、偶然は発明の父なんだ。
日々挑戦しよう
「僕がいままでに掲げた目標が一つだけある。聞きたいかね?」 ぜひ、と私は答える。 「"明日は今日と違う自分になる"だよ」
それでは退屈や不安から逃れ、成功するためにはどうしたらいいのでしょうか?
一つ興味深い話をここではしています。
仮想のコイン投げ競争を想定しよう。参加者は千人、表が出れば勝ち、裏が出れば負けだ。 千人の人がコインを投げると大体500人の人が裏が出て負ける。そうして7回投げ終わるとコインを投げる人は8人くらいになる。 この頃には、コイン投げの達人を一目見ようと見物人が集まってくる。そして勝った人たちはお世辞に当惑させられる。彼らはコイン投げの天才だと褒め称えられ、生い立ちを書かれたり、急にアドバイスを求められるようになる。
そう大事なのはコインを投げ続けるということです。
だから僕は、たった一つしか目標を持っていない。毎日毎日、違う自分になること。これは"試すこと"を続けなければならないということだ。そして試すこととは、あっちにぶつかりこっちにぶつかり、試行錯誤を繰り返しながら、それでもどうにかこうにか、手当たり次第に、あれこれやってみるということだ。
感じたこと
本の内容をとてもとても簡潔にまとめてみました。他にもたくさんの良いことが書いてあるし、私の理解が正しいとは限りません。
この本を読んで感じたことは、自分の人生をより良くするのに、高尚な目標や理想などいらないということ。
就活の時から自分は自己分析というものが苦手でした。自分は好奇心が旺盛で興味があっちこっちにいくタイプで、あんまり一つのことをずっとやり続けることが苦手です。そんな自分が将来飽きないような人生の立派な目標を立てるのはとてもしんどいものでした。
まるで人生にはただ一つの立派な目標がないとダメで、それがない人は企業から評価されないみたいな。
でも働きだしてから周りをみると全くそうではありませんでした。家庭やローン、体面や収入、地位や福利厚生のために働く人たち。仕事の愚痴を言いながら何も行動しない人たち。
それでも企業の中では仕事さえしていれば評価されてクビを切られることもない。
また自分自身の価値観がどんどん変わっていくのも感じました。
そして人生の唯一の目標なんてないし、そんなものは楽しく生きるために必要ではない。人生はひたすら仮説検証で、その時の自分が楽しいと思うことをやっていけば良いやんと思うようになってきました。
そんな中でこの本と出会って、自分が感じて考えてきたことが書かれていたので、非常に共感できました。また自分の中でずっとしこりに残っていた、人生でやりたいことや成し遂げたい目標がないというコンプレックスから解放されました。
これからは目標や計画を立てることに時間を使うのではなく、やりたいこと興味があることにどんどん挑戦して、"明日は今日と違う自分になる"ことを続けていきたいと思いました。
またきっといつかマンネリにぶち当たると思います。その時はこの本を読み返して、人生のそばに置いておきたいと思いました!
是非、皆さんも興味があれば一度読んでみてください。
(ちなみにAmazon Primeの会員でkindleを使っている人なら、今(2018/07/28現在)ならPrime Readingで無料で読めるので、是非一読をお勧めします。)